電子基準点のみを既知点とする基準点測量
電子基準点のみを既知点とする基準点測量
検証用のため当社社屋に設置したGNSS基準局の座標を、「電子基準点のみを既知点とする基準点測量マニュアル」(以下マニュアル) に従って求めました。
観測
観測セッション(012A)
観測図は上記の通りです。スタティック観測は2時間以上行う必要があります。本観測では、24時間行いました。
併せて国土地理院のサイトから、周辺電子基準局(新潟三島・小千谷・栃尾)の観測データをダウンロードします。
基線解析により、次の3つの基線ベクトルを求めます。301~001、302~001、303~001
点検セッション(019A)
後日もう一度スタティック観測を行い、電子基準点・栃尾のデータをダウンロードしておきます。
基線解析により基線ベクトル302~001を求め、観測セッションの基線ベクトル302~001と比較点検します
成果座標の入手
国土地理院の基準点成果閲覧サービスから、電子基準点の成果を入手します。
標高についてですが、成果表によると新潟三島と栃尾は水準測量によって、小千谷はGNSS水準によってもとめられています。
この標高成果は使用せずに、楕円体高の成果値を使用します。その地点のジオイド高と楕円体高を基に標高を算出します。
標高(計算値)= 楕円体高(成果値)- ジオイド高(日本のジオイド2011ver.2)
*GNSS水準測量の場合は、標高(成果値)を用います。
既知点座標には成果座標をそのまま用いるのではなく、セミダイナミック補正によって今期座標に変換した座標を使用します。
元期座標は、過去の基準日におけるその地点の座標であって現在座標ではありません。測量範囲が狭い場合は、全ての既知点が同じ地殻変動によって
同じ方向に同じ距離動いていると考えていいかもしれませんが、電子基準点を与点とした場合基準点間の距離が20km程度と大きいためそれぞれの
地殻変動量が異なります。
セミダイナミック補正によって、今期座標(今の座標)に変換した座標を網平均に用いて、得られた新点座標(今期)を再び元期座標に戻す処理が
必要です。
上記は、各電子基準点の成果座標と標高(計算値)およびセミダイナミック補正によって今期座標に変換した座標値です。 後述する網平均はこの今期座標で行い、計算結果を再びセミダイナミック補正により元期座標に戻します。
基線解析
今回は、地理院が公開している基線解析ソフトウェアGSILIBを用いました。RTKLIBでも解析できますが、GSILIBは手簿記簿帳票に必要なデータを 出力することができます。解析により、合計4本の基線ベクトルを得ました。
セッション012A :301~001、302~001、303~001
セッション019A :302~001(点検測量)
点検計算
電子基準点間結合点検計算
与点が電子基準点のみの場合は、電子基準点間の結合の計算を行い、閉合差を確認します。
301の座標値に、【301~001】【001~302】の基線ベクトルを加えることで302の座標を計算して、302の成果値との違いを比較するイメージです。
閉合差が制限以内かどうかを確認します。
同様に、301~303間の結合計算も行います。
点検測量
後日観測・解析した基線ベクトルとの比較を行います。
重複した基線ベクトルとの較差が、制限以内かどうかを確認します。
網平均計算
電子基準点を与点にする場合、仮定網平均計算は不要です。通常の基準点の場合、既知点一点を固定して仮定網平均計算を行うことによって 他の基準点が正常かどうかを確認することができます。電子基準点の場合国土地理院が品質を常時監視しているため、確認が不要です。
既知点座標には成果座標をそのまま用いるのではなく、セミダイナミック補正によって今期座標に変換した座標を使用します。平均図は以下の通り。
計算結果を元期座標へ
網平均計算によって得た新点座標は、今期座標です。これをセミダイナミック補正によって元期座標にもどします。
2021年3月31日に以下の通り改測しました。
元期座標 | 緯度 | 37°25′06.0054" |
---|---|---|
経度 | 138°49′54.0655" | |
標高 | 33.904 m | |
楕円体高 | 73.587 m |